第1章

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サヴァン症候群。 自分が興味のある分野に関しては凄まじいまでの天才性を発揮するが、それ以外は日常生活すらも犠牲にしてしまう、知識欲が先行しすぎたが故の病気だ。 一種の自閉症だという話も聞く。 だからオレは、高校生の時、コイツからとある台詞を聞いて、死ぬほど驚いた。 『みれーは、みっちゃんが好き。だから、一緒のガッコ行こう?』 告白と同時に、同じ進路へ進もうと言われたのだ。 進学先は、東京にある私立の超有名大学。 オレたちの進んだ高校から、その大学に進路を決めたのは、コイツが初めてだったらしい。 そこで何を学びたいのかと聞けば、 『ロボットっ!』 『ロボット?』 『みれーもエヴァ○ゲリオン作るの!』 『エヴ○ンゲリオンは人造人間だけどな』 『じゃあガン○ム?』 『あぁ、作るならそっちだな』 そんなわけで。 オレはそれから、一日18時間の勉強をして、見事その大学へと入学することが出来た。 全く、何度眠気以外で意識を飛ばしそうになったことか。 もちろん合格したからには、東京に1人暮らしをすることになる。 がしかし、深鈴が1人暮らしなど出来ようはずもない。コイツには、生活感というものがまるで皆無だからだ。 そこで、オレと同棲するという話になったのだ。 どうやらコイツは、オレのことを『Like』ではなく『Love』で好きなようで、 「一緒に住めばいーんでしょ?」 「っ……!!」 こんな風に話を持ち掛けてきたのだ。 ――……。 告白と同時に同棲を迫られるとは、微塵も思っていなかったがな。
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