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親も親で、オレと深鈴の間に間違いが起こるなど毛ほども考えていないらしく、同棲はすっかり現実のものとなってしまった。
そんな同棲生活も、大学3年の今では慣れたもの。
このまま結婚して緩い生活が続くことに、最近のオレはどこか確信めいた気持ちを持っていた。
「深鈴、今日は何が食べたい?」
「目玉焼き!」
「それは昨日も食ったろう。他にはないのか?」
「眼球焼き!」
「――……読み方は同じだがな」
普通に怖いぞ。誰かのをほじくり出すのか? 朝からスプラッタ映画を見せる気かコイツは。
深鈴を抱きかかえたまま、オレはキッチンへ向かう。
ちなみにボロボロアパートの1Kなので、キッチンらしいキッチンではない。
――……世の中は個人飛翔用機械などが流行っているというのに、何を好き好んでこんなボロ屋に住んでいるのか……。
「深鈴、下りるか背中に移るかしろ。料理が作れん」
「あいさー♪」
深鈴は背中に移ることを選んだらしく、器用にオレの体を這っていった。
冷蔵庫から卵を取り出しながら、オレは背中の深鈴に問う。
「深鈴、体重は計ったか?」
「うんっ。36キロだったー」
「――……また痩せたな。よし、今度肉でも食いに行くか」
「焼き肉焼き肉!!」
「よし、バイト代が入ってからな」
「やったぁ!!」
女性に、しかも彼女に体重を聞く、さらには女性を焼き肉に誘うなど、男の風上にも置けないオレの言動だが、コイツに関してはそのマナーは当て嵌まらない。
激ヤセ体質のコイツは、何もせずとも体重が落ちていってしまう。
ゆえに毎朝体重をチェックし、体重を減らさないよう努力しなければならないのだ。
ちっ……どうりで異様に軽いと思ったぜ。
今日は無理させられないな。
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