第1章

6/35
前へ
/102ページ
次へ
「誰からー?」 卵の黄身で口の周りをべとべとにした深鈴が聞いてきた。 ティッシュで拭いてやりつつ、オレは質問に答えた。 ――……今度は黄身を固焼きにしよう。 「頼からだ。「PSRS」、お前のお陰で完成したらしいぞ」 「ほんとに!? やったぁ♪」 すると、深鈴はその可愛らしい顔に、にぱぁっと大輪の花を咲かせた。 ――……全く、この表情を嬉しがるから、オレはロリコンと呼ばれるんだ。 「みれー、偉い!?」 「あぁ、偉すぎだ。これでオレたちの卒業と就職は確約だぞ」 「ガ○ダム造れる!?」 「うーん、まだ遠いな。だが確実に近づいたぞ」 まだ諦めてなかったのか、ガンダ○。 それからオレたちは急いで朝食をとると、部屋を二つに分かつカーテンを引いて着替え、学校へ行く準備を整えた。 「深鈴、今日はお前が洗い物当番だぞ」 「あう? そーだっけ?」 「お前が覚えてない訳無いだろう? とぼけるなよ」 「うー……」 うちは深鈴が皿を割らないように、全てプラスチック製の食器を使っているので、包丁以外は深鈴にも洗わせられる。 とかくコイツは家事をサボりたがるので、オレが言い付けて皿洗いをやらせるのが当番の日の日課だ。
/102ページ

最初のコメントを投稿しよう!

40人が本棚に入れています
本棚に追加