プロローグ1

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その後、強制帰宅時間までの3時間半たっぷりデュエルしくたくたになった遊騎は、学校を出て虹司と別れる20分の間、デュエルキングダムに付いてみっちり教え込まれた。 デュエルキングダムには予選と本戦があり、本戦の定員は16名。予選で合計10個の“勝ち星”を取らなければ本戦へは進めない。 それもただ単に10回勝てば良いというわけではない。“勝ち星”を賭けてデュエルし、負ければ賭けに出した“勝ち星”は“負け星”に変わる。 つまり負けたら一つ”勝ち星“は減るのだ。 ちなみに参加者には最初に三つの“勝ち星”を与えられるので、実質勝つのは7回で良いのだが。 他にも一度”星“を賭けてデュエルした相手とは”星“を賭けては戦えないとか、同じ地域で10個”星“を集めてはいけないとか色々面倒くさい。 やっぱりデュエルキングダムなんて出る気しないな。 そんなことを考えながら駅構内へと向かっていると「風間ぁ!」と遊騎を呼ぶ声がした。 声がした方へ振り向くとそこには自転車通学の為の自転車にまたがった男がいた。 「遅かったな?また帰宅時間ギリギリまで宝田たちといたのか?」 「わかってんだろ。そもそもなんでデュエルの最中に失踪した浅飛がこんな時間にここにいんだよ?」 「なんだよ、釣れねーなぁ。折角待っててやったっつうのによ。それと俺は失踪なんてしてないぞ?ステルス機能を使って姿を消してただけだ!」 そういうと浅飛はマントで体を覆うような仕草をした。 浅飛光一(あさひこういち)。 遊騎の高校生になってからの友だち第一号の彼は、遊騎や虹司とつるんで暇さえあれば冗談を言って楽しませてくれる基本は面白い男だ。しかしその反面、物事を冷静に観察、判断し行動できる男でもあった。 後者の性格はデュエルでも発揮され、冷静な状況判断でピンチを切り抜ける姿はまさに漫画の主人公だ。 そんな主役顔負けの光一が、いつになく真剣な顔で遊騎を見る。高校生にしては少々小さめの遊騎は光一を少し見上げる形になる。 「本当に出ないのか?」 突然光一が遊騎に問いかけた。 勿論、デュエルキングダムの話だ。ちなみに光一は虹司と共に予選に参加することを決めていた。 遊騎はわかっていたが敢えて「なんのこと?」としらを切る。 「デュエルキングダム。折角だから出てみないか?」 「なにが折角なんだよ?」 「案外ストレートに本戦行けるかもしれねーぞ?それにお前、デュエルを楽しめる
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