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「いいや。
『名は体を現す』ってね」
ニヤニヤと笑いながらターゲットは直真に言った。
「……やっぱり、嫌味じゃないか」
直真はニヤニヤするターゲットに若干苛立ちを感じていた。
「コラコラ。
話は最後まで聞く。
ガッコで習わなかったか?」
鎌の柄の方でターゲットは直真の頭をぐいっと押した。
「意外と真面目なんだな」
ターゲットの鎌の柄を押し返しながら、直真はうんと納得したように頷いた。
「『意外と』は余計だ。
『意外と』は!」
くるくるっと鎌を棒のように頭上で回し、ターゲットは鎌を持ち直した。
「本題をどうぞ」
ターゲットの妙な動きを気にするでもなく、直真は話を進めた。
「……っち。
一々、カンに障る奴だな」
直真の素っ気ない態度に、ターゲットは舌打ちした。
「そんな俺に絡むお前も悪い」
負けじと直真も言い返す。
「あーあーあー!
また『お前』って言った!」
いきなり取り乱し、ターゲットは高速で直真の周りを回った。
「あ、すまない。
悪かったな」
目が回りそうになりながらも、直真はきちんと謝った。
「ほらね」
高速回転していたターゲットはピタリと止まり、直真の目の前でふわふわと浮いている。
「あ?」
意味がわからず直真はア然とした。
「根から極悪非道な奴はここで謝ったりなんかしない。
素直に謝る直真は、名前の通り純粋で真っ直ぐな奴なんだよ」
今度は鎌の柄で直真の胸を押した。
「……っち、調子狂うぜ」
「ぬっ?!」
がしっ。
直真は半ば強引にターゲットから鎌を取り上げた。
くるくるくる……
直真が徐に投げると、鎌は何故かブーメランのように回転しながらターゲットの頭をすり抜け飛んでいった。
ぱしっ
ターゲットの後頭部を目掛けて戻ってきた鎌を、振り返りもせずにキャッチした。
まるで、ターゲットは鎌の動きを知っていたかのようだ。
……というより、直真は鎌が生きてるように錯覚してしまいそうだった。
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