6人が本棚に入れています
本棚に追加
━━……
あの一件から一週間が過ぎた……。
……━━
「あ~。
さびぃ~」
直真は寝袋に包まって寒さをしのいでいた。
只今、直真は家出中。
和樹と顔を合わせたくなく、あれからずっと家を出てる。
暫くはネットカフェで過ごしていたが、資金が尽きかけた為野宿を決行したのである。
「あ~!
早まるな!」
誰かが寝袋に包まる直真に向かって叫ぶ。
「あ?
あぁ!?」
閉じていた目をゆっくりと開け、直真は声をあげた。
「うるさい!
うるさい!
あー、うるさい!」
そう言いながら一人の少年がいる。
いや、正確に言うと浮いている。
「俺、死ぬのかな……?」
直真は目を擦りながら呟いた。
そして、ゆっくりと寝袋から出た。
直真の前に現れた少年は浅黒い肌に鋭い牙、頭には角が生え、背中には大きな黒い羽があり、右手には大きな鎌を持っている。
「うん。
お前、死ぬよ。
こんな寒空でしかも川沿いで薄い寝袋のみで寝るなんて無謀だよ」
腕組みをし、少年はうんうんと頷いてる。
「俺金持ってないから勘弁してくれ」
直真はぺこりと頭を下げた。
「はい?」
意味がわからず、少年は首を傾げる。
「……引かないようだったら、俺にも考えがある」
直真は立ち上がり構え、臨戦体制に入る。
「待て待て待て!
お前、何か勘違いしてないか?」
鬱陶しいくらいに少年は直真の周りをぐるんぐるんと飛び回った。
「……アンタ、俺から金品奪おうとしたんじゃないのか?」
ぐるんぐるんと飛び回る少年を見て、目を回しそうになりながらも直真はグッと堪えた。
「ばぁ~か!
人間相手にそんな事しないよ!
俺様、そんなにお間抜けじゃないもん」
ベロベロと舌を出して少年は直真を馬鹿にする。
「じゃあ、何だよ?」
少年の態度に直真はイライラしている。
「お前、いい根性してるなぁ。
『悪魔』を恐れないなんて感心するよ」
少年の明らかに普通の人間と違う出で立ちを見ても動じない直真に、少年は目を丸くして感心してる。
最初のコメントを投稿しよう!