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「悪魔ぁ~」
少年の言葉に直真は不信感を抱く。
「お前……。
信じてないな」
少年は直真に顔近づけ睨みつける。
「ア、クマ?」
少年に至近距離で睨まれても、直真はケロッとしボケる。
「ドアホ!
クマじゃねぇよ!
区切るな!」
直真のボケに少年は、思わずツッコミを入れた。
「変態コスプレに用はない。
帰れ。
散れ。
散りさくれ!」
手で少年をシッシッと追い払い、直真は露骨に嫌そうな顔をした。
「あったまきた!
天誅!」
全く相手にしてくれない直真に対し、少年は怒りをあらわにした。
そして、上を指差した。
少年が夜空を指差すと、指先が光りほんの一瞬空がまばゆい光りに包まれた。
ガコンッ!
くわんくわん……。
「あうっ!」
何と何処からともなく金盥が直真の頭に振ってきて、見事に的中した。
直真はあまりの痛さにうずくまる。
その横で金盥が寂しそうにクルクル回ってる。
「ざまぁ!」
自分のお尻をぺしぺしっと叩き、少年は勝ち誇っている。
「何で金盥が降ってくるんだよ?」
一瞬の出来事で流石の直真も状況を把握出来ていないのか、口をパクパクと動かしてる。
「俺様をいじめた天誅だ」
驚いている直真に少年は、あっかんべーをした。
「(コイツ……。
大人しく話聞いた方が身のためだな)」
少年の異様さに気づいた直真は、冷静に状況を判断する。
「おやおや?
さっきまでの威勢はどうした?
ん?
んん?」
少年は、難しい顔をして少年を見つめる直真を更に挑発する。
そしてまたわざとらしく、直真の目の前を行ったり来たり飛び交う。
「……お前、『悪魔』とか言ったな。
話を聞こうじゃないか」
意を決した直真は、どかっと地面に胡座をかいて座り少年を見つめた。
内心、少年が何をしたいのかさっぱり検討がつかず直真は混乱しそうな気持ちをグッと抑え冷静さを装っている。
しかし体は正直なもので、背中は汗でビショビショになっていた。
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