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「江夏が助けてくれた?」
「うん、ほんとビックリしちゃったよ」
「…オレのことからかって面白いか?」
「ッ本当だよ!!ボキが不良に殴られて、そしたら傷心配してくれたの!!」
だってまだ覚えてる。江夏のちょっと固い手の平の感触と直に伝わってきた熱。
我聞はやっぱり信じてないみたいで、ははって笑いながらボキの話を聞き流してた。
む、なんか馬鹿にされたみたいでムカつく。
「我聞ちゃんの馬鹿!」
「お前のが馬鹿だろが」
「うーるーさーいッ」
頬をぷっくり膨らませて唇尖らせながら我聞を睨むように見れば、くすりと笑われて傷に手をあてられた。
痣を、撫でるように優しくさする我聞。あまり感情を表に出さない我聞が、眉間にぐっと皺を寄せて難しそうな顔をした。
「…で、つる。また同じ奴らにやられたの?」
「……、今日は、1人少なかった」
「そうか…」
「…うん」
「……なあつる」
「なあに?我聞」
不意に我聞と交わった視線。
瞳の奥にボキが写ってる。
どうしたのって首を傾げながら言ったら、躊躇いがちに我聞の口が開いた。
「…転校、っつー選択肢はないのか?」
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