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それは、今まで何度も我聞が勧めてくれた、「逃げ道」
「また、その話?」
にこっと笑ったら、でも我聞はちっとも笑い返してはくれなくて肩をぐっと捕まれる。
痛いぐらい強いそれにぅ、と低く呻いたら、はっとしたように我聞が肩から手を離した。
「……悪い、」
「いいよ、別に」
「でもオレはつるが心配だから、」
「大丈夫だよ、ボクはさ」
「…何かあってからじゃ、遅いんだぞ?」
「分か、てるよ」
「本当か?」
「…ん。じゃあね、ボクこっち」
「ああ、…気をつけてな」
別れ際に見た我聞。気の精か今まで見てきたどの表情よりツラそうだった。
「心配しすぎだよ、我聞」
変わってないね、昔から。
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