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兵士がルッカたちを連れて場内に入ると、大臣が現われた。
「何事だ!?こいつらは!?」
「この者達は、ガルディアの森にて捕らえた怪しげな者達。城に侵入をしようとしていたところを捕らえました。しかもこの少女が、マールディア王女の名を知っており、このまま見逃すわけにはならぬと思い捕らえて参りました。」
「そうか…よくやった。こいつらを牢にぶちこめ!!準備が出来しだい、裁判を行う!!」
「ははっ!」
そして兵士たちが、ルッカたちを牢に連れていこうとしたその時だった。
王とアリーチェ王妃が、ルッカたちの前に現われた。
「騒がしいぞ、何事だ?」
「ははっ!」
大臣と兵士たちは、左右に別れて頭を下げひざまずいた。
「母上っ!!」
マールはアリーチェを見たとたんに、つい声が出てしまった。自分が暮らす世界では、アリーチェは故人となっていたからだ。
マールはアリーチェの姿を見て、嬉し涙をこらえていた。
「あなた、今私を母上と申しましたね?勘違いされてはおりませんか?」
優しい穏やかな口調でマールに話し掛けた。
「申し訳ありません。」
マールはしゅんとして頭を下げて、一歩後ろへ下がった。
「この者達はどうしたのだ!?」
王が問いただすと、兵士の一人がひざまずきながら言った。
「この少女が、マールディア王女の名を語ったのです。城に仕えるもの以外に姫の名を知っている者はいないはず、怪しい奴らと判断し連れて参りました。」
王はマールを見るなりこう言った。
「そなたの顔つき、言われてみればマールディアの面影があるようだ、アリーチェにもどこか似ているようにも思える…。斯くして、マールディアの名を何故、そなたが知っておるのじゃ?」
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