☆二人のルッカ、一人のマール

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兵士がルッカたちを連れて場内に入ると、大臣が現われた。 「何事だ!?こいつらは!?」 「この者達は、ガルディアの森にて捕らえた怪しげな者達。城に侵入をしようとしていたところを捕らえました。しかもこの少女が、マールディア王女の名を知っており、このまま見逃すわけにはならぬと思い捕らえて参りました。」 「そうか…よくやった。こいつらを牢にぶちこめ!!準備が出来しだい、裁判を行う!!」 「ははっ!」 そして兵士たちが、ルッカたちを牢に連れていこうとしたその時だった。 王とアリーチェ王妃が、ルッカたちの前に現われた。 「騒がしいぞ、何事だ?」 「ははっ!」 大臣と兵士たちは、左右に別れて頭を下げひざまずいた。 「母上っ!!」 マールはアリーチェを見たとたんに、つい声が出てしまった。自分が暮らす世界では、アリーチェは故人となっていたからだ。 マールはアリーチェの姿を見て、嬉し涙をこらえていた。 「あなた、今私を母上と申しましたね?勘違いされてはおりませんか?」 優しい穏やかな口調でマールに話し掛けた。 「申し訳ありません。」 マールはしゅんとして頭を下げて、一歩後ろへ下がった。 「この者達はどうしたのだ!?」 王が問いただすと、兵士の一人がひざまずきながら言った。 「この少女が、マールディア王女の名を語ったのです。城に仕えるもの以外に姫の名を知っている者はいないはず、怪しい奴らと判断し連れて参りました。」 王はマールを見るなりこう言った。 「そなたの顔つき、言われてみればマールディアの面影があるようだ、アリーチェにもどこか似ているようにも思える…。斯くして、マールディアの名を何故、そなたが知っておるのじゃ?」
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