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そしてルッカが話の本題を切り出した。
「そこで、ガルディア王にお願いがあります。」
「なんだね?」
「マールディア王女に会わせていただくことは、出来ないでしょうか…?」
するとガルディア王とアリーチェ王妃の顔が曇り始め、二人とも黙ってしまった。
「………………。」
「……………………。」
「実は幼い頃にマールディアは亡くなりました。確かに生きていれば、あなたと同じ年ごろだったと思います。」
アリーチェは目に涙をうかべていた。
「そ、そんな……。」
マールは、この世界で自分が亡くなっていることがショックで、バタンと座り込んでしまった。
「あなたが私の娘なら別の世界の者とて、喜ばしいことです。」
アリーチェはマールに気遣い、言葉をかけた。
「しかし証拠が…何か私たちの娘であるという証拠…それがないと完全に信じることはできぬ。」
王がルッカたちをみて、少しほんの少し、まだ怪しんでいるようだった。
しかし今から証拠を王に見せることにより、王はマールを娘だと信じることとなる。
「こちらです。」
マールはゆっくりと、ガルディア王の前に行きペンダントをみせた。
「これは……マールディアのペンダント…。裏側にも私とアリーチェのサインが刻まれている…!!なんとも不思議な事があるものだ…。しかしマールディアはもういない、君たちの力にはなれそうにないな…。」
ガルディア王が悲しそうな瞳をして俯いた。
「では、ペンダントは…?もしこのペンダントがあれば、私たちは元の世界に戻れるかもしれないんです。」
ルッカが最後の望みと言わんばかりに、真剣な面持ちで頼み込んだ。
「申し訳ありません…亡骸とともに葬りましたので、ペンダントはこの世にはもう無いのです。」
アリーチェも申し訳ない気持ちと、亡くなったマールを思い出しているのか、うっすらと涙をうかべている。
「そうですか……。」
ルッカも肩を落として、座り込んでしまいたい気持ちだったが、それを我慢した。
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