あいつ

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今日は俺とお前の記念日だよな ? 俺からお前に想いをぶつけてから始まった交際 こんな馬鹿な俺を相手にしてくれてさ、 どんなに傷つけたって笑顔で隣に居てくれてさ、 お前以上の女は未だに見つけらんねえよ。 でも、お前料理が苦手だってコンプレックスにしてたよな? そりゃそうだ笑″ お前が作る味噌汁スゲー甘いんだもん 何で砂糖が入ってんだよ笑″ 聞いてみたらお前言ってたよな 「だって貴方、微糖派じゃん!」 こいつは幸せにしたいと思ったね。 微糖はコーヒーだっつうの! 何もかも微糖だったら気持ち悪いわ!笑″ でも知ってんだぞ? 俺には隠してるつもりでもバレバレだ。 俺に味噌汁作る為だけに指に沢山傷をつけて、ホントに痛々しかったんだぞ。 確かに毎日味噌汁を作ってくれと言ったけど、 そんなにしてまでやる事かよ。 逆に味噌汁が嫌いになるわ!笑″ しかもそれ、プロポーズの意味も兼ねて言ったの気付いているか? まぁ、お前は鈍感だから気付いてねぇだろうと思うけど、 味噌汁を作ってくれた時はホントに嬉しかった。 それが答えだと思ったし笑″ でも、もうそんなお前の愛情と微糖がこもった味噌汁が食べれないんだよな。 ホントに突然過ぎてさぁ 何があったのか分からなくて数秒間ぼ~っとしてたよ。 ホント情けねえよな。 あれは買い物に行った帰りだよな。 何であの時に俺を庇ってトラックに突っ込んだんだよ! 二人で横断歩道を渡ろうとした瞬間に俺は押されてお前は飛んでった。 悲鳴が沢山聞こえた。 味噌汁の具材が散らばった。 ホントにあっという間だったよな。 飛ばされてそのまま道端に仰向けに寝転んだ時に、お前が最後に言った言葉 声にならない声で言った言葉 「今までありがとう。私より味噌汁が美味い人と結婚してね…。」 俺は叫んだ。 大粒の涙に打たれながらお前の名前を叫んだ。 ずっとずーっと叫んだ。 馬鹿野郎! お前が居なくなったら微糖の味噌汁も食えねえじゃねえか お前が居なくなったら記念日の七夕に「おじいちゃん、おばあちゃんになってもずっと一緒」 って書けねえじゃねえか。 お前が居なくなったら…。 あれから幾つかの七夕を過ごしたけど、 未だに貴女の味噌汁を思い出します。 糞不味かったけど、ありがとう笑″ 乙姫星になった恋人に感謝を言い 今日も俺は微糖の味噌汁を作る。
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