当たり前の日常

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少女はまた読んでいた本に視線を戻した。 それには様々な“愛し方”が載っていた。 「やっぱり毒殺かしら」 少女は鈴を転がしたような愛らしい声でそう言った。 開いたページには毒蛇による毒殺の方法が載っている。 毒蛇の種類にも寄るが、その死に方が一番死後も美しいのだ。 少女は愛されるならこれがいいと四つ葉のクローバーの栞を挟んだ。 「レイラ。降りてきてくれないかい?」 「はい。ママン」 少女レイラは本を棚に戻すと早足に部屋を出て、母と慕う者の所へ階段を駆け降りた。 レイラにはまだ愛する人はいなかった。
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