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「この店、ですか?」
何やら少し渋い顔をして、諏訪部さんが尋ねる。
「は、はい。あ……もしかして、焼鳥は嫌いですか?」
恐る恐る尋ねれば、諏訪部さんはいつもの優しい笑顔で「いいえ」と返してくれた。
ホッと胸を撫で下ろす。
私は真由ちゃん先輩とよく来る焼鳥屋を選んだ。
焼鳥屋と言っても、煙草の煙が充満して、ゲラゲラと品のない笑いが響くような店ではないから、無難だと思って。
そりゃ、本当はこ洒落たレストランバーなんかがよかったけど、そんな雰囲気のある所へ行ったら、意識し過ぎて緊張のあまり、何も喋れなくなってしまうのは目に見えてる。
「じゃあ、入りましょうか」
諏訪部さんの声に続いて、私たちは暖簾をくぐった。
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