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「えぇ、勿論。誰を誘えばいいですか?」
えぇっ!?と思って、固まる。
そう切り返されるなんて考えてもみなかった。
どうやら諏訪部さんは、まさか私の想う相手が自分だとは思わずに、橋渡しを、頼まれたのだと勘違いしたようだ。
「あ、いや……えぇっと。と、とりあえず、2人で。そ、相談に乗って貰えたら、なぁ……なんて」
俯きながら、視線だけ動かして、諏訪部さんの反応を探る。
「お役に立つかはわかりませんが……私なんかで良ければ」
少し照れ臭そうにはにかみながら言う諏訪部さんをしっかりとこの目で捕らえると、心の中でガッツポーズをする。
「あ、ありがとうございます!よろしくお願いします」
勢いよく、深々と頭を下げると、諏訪部さんはくすくすと微笑を揺らした。
重い資料も、重かった筈の戻る足取りも、今は羽根が生えたかのように軽くて。
思わずスキップしたくなる程浮かれながら、持ち場へ戻り、仕事に勤しんで定時を待った。
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