1st love ~高村杏の場合~

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「いらっしゃいませ」と、明るい活気に満ちた声に出迎えられ、カウンターの席に着いた。 「諏訪部さん、何飲みますか?」 「私は生中で」 ドリンクメニューを覗きながら、自分から振ったくせに諏訪部さんの答えに耳もくれず、私は唸りながら悩んでいた。 ここは可愛い女をアピールしてカクテルを選ぶべきか。 さすがに一発目から焼酎はないわよね。 あれでもない、これでもない、とメニューと睨み合う私の隣でくすくすと諏訪部さんが笑ったのを聞いて、私は首を傾げた。 「あぁ……いえ。決まりましたか?」 私の視線に気付くと、諏訪部さんは取り繕うように咳ばらいをして尋ねた。 「あ、はい。ピーチフィズで」 無難に、可愛く、ね。  
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