13494人が本棚に入れています
本棚に追加
/330ページ
「いらっしゃいませ」と、明るい活気に満ちた声に出迎えられ、カウンターの席に着いた。
「諏訪部さん、何飲みますか?」
「私は生中で」
ドリンクメニューを覗きながら、自分から振ったくせに諏訪部さんの答えに耳もくれず、私は唸りながら悩んでいた。
ここは可愛い女をアピールしてカクテルを選ぶべきか。
さすがに一発目から焼酎はないわよね。
あれでもない、これでもない、とメニューと睨み合う私の隣でくすくすと諏訪部さんが笑ったのを聞いて、私は首を傾げた。
「あぁ……いえ。決まりましたか?」
私の視線に気付くと、諏訪部さんは取り繕うように咳ばらいをして尋ねた。
「あ、はい。ピーチフィズで」
無難に、可愛く、ね。
最初のコメントを投稿しよう!