10th Love ~都筑 秀の場合~

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「こんなところでサボってないで、早く戻ってください。会議始まらないじゃないですか」 「あー、ごめんごめん。忘れてた」 目を尖らせた彼女は、軽く笑う上野をたしなめて急かす。 そのやりとりを横目で黙って見守っていると、ふと、彼女と目が合った。 ……なんとなく、気まずい。 この間、あんな別れ方をしたせいだ。 逃げるように手元のコーヒーに目を向け、ぐいっとあおる。 「本当に一緒にいるんですね」 ぼそりと呟く彼女の言葉に、「なにが?」と上野が反応する。 「都筑さんと上野課長、仲がいいとお聞きしたので」 「あぁ、そうだね。悪友ってやつ。大学時代からの」 「そうでしたか」 俺をそっちのけで会話を進める二人に、苛立ちが芽生える。 「じゃーな、都筑。また飲みにでも行こう」 そう言って踵を返した上野の一歩後ろで、彼女が頭を下げる。 恐らくそれをきっかけに、さっき芽生えたばかりの小さな苛立ちが、一気に成長していく。 理由なんて分からないけれど、まるで血が上るような感覚。
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