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「いいですよ」
なに食わぬ顔でさらりと答える彼女に、今度は俺の方が固まってしまう。
目を丸くする上野に関しては、言うまでもない。
「私も一度、上野課長の奥さんとゆっくりお話してみたいです。……って!こんなところでゆっくりしてる場合じゃないんですってば!!」
「あ、あぁ……そうだったな」
「じゃあ、都筑さん。また後で」
バタバタと慌ただしく去っていく2人の姿を、呆然と見送る。
もとはと言えば、俺が言い出したことだけれど、まさかこんな展開が待っているとは思いもしなかった。
しかも、上野が隠しているはずの真央ちゃんの存在を……
真央ちゃんとの関係を、彼女は既に知っていたなんて。
そうと分かっていても、彼女はあんなにもまっすぐ上野を見つめているのかと思うと、少しだけ、胸が痛んだ。
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