10th Love ~都筑 秀の場合~

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「俺、この人送ってくから。上野は真央ちゃん連れて、先帰って」 「あ、あぁ。大丈夫か、山口」 「大丈夫ですか?千明さん」 「らいじょーぶ、らいじょーぶっ!」 俺たちの心配をよそに、1人ケラケラと笑う彼女にため息をひとつ。 でも、彼女がこうなったのには俺にも少し責任がある。 彼女の上野に対する気持ちを知っていながら、この場へ呼んだのだから。 「じゃあ、会計は済ませておくから」 「悪いな。また今度払う」 「いいよ。それより、山口のこと頼む」 別に、わざわざお前に頼まれなくても。 そんな小さな反抗心を笑顔で隠して頷く。 「分かった。お前らも気を付けて」 こちらを気にかけながらも帰路につく2人の姿を見送って、いまだ項垂れる彼女の肩に手を伸ばす。 けれど、触れることにためらってしまう。
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