10th Love ~都筑 秀の場合~

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「待てって」 追いかけてその手を取れば、そのか細さにドキッと胸が鳴る。 「危なっかしくて見てられない」 ……そう。 見てられないんだ。 もうずっと。 悲しそうで、苦しそうで、寂しそうで、切なそうな、その横顔を。 上野を見つめる横顔を。 「放っておいてください!どうして私に構うんですか!?」 振り返った彼女の瞳は潤んでいて、だけど強くあろうと必死に俺を睨むから…… だから気が付けば、彼女の体を思いきり、自分の胸に抱き寄せていた。 「分からない」 俺は彼女のことが嫌いなんじゃなかったのか。 なのに、この腕のなかに閉じ込めていたい。 上野のことなんか見なければいい。 上野の目に写らなければいい。 全部、忘れてしまえばいい。 この矛盾は、なんだ?
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