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まだかな、まだかなー…
マジあいつおっせー!
帰っちゃおうかな
俺様を待たせるなんてムカつくんだよ。
…でも帰ったらな、
今日は約束したんだし
あいつ困るよな。
もしかしたら寒い中俺のこと
探すのかなー…
「き?…こ、う、きー?!」
「うわっ!!?
…なんだ田口か」
「田口か、って(笑)
俺のこと待ってたくせに~」
「っ分かってんなら早く来いよ!」
「はいはい、ごめんね
遅くなった」
「今日お前がチャリこげよ」
「え~嫌だ~」
「てめー
もう置いてくかんな」
「待ってよこうき~!」
田口を待っていた下駄箱から二人で出て、自転車置き場へ歩くと冷たい風が吹いて思わずマフラーに顔を埋めた。
あぁ、さみ~
「…お前、なにそれ」
「プーさんの耳当て
可愛いでしょ?あはは」
「…。
(ちょっと可愛い、
ほしいと思ってしまった
なんて言えない)」
「聖?はやく乗りなよ」
「あ、あぁ」
チャリンコにまたがりながらプーさんを着けた田口がへらへら笑った。
結局後ろ乗せてくれんだな。
冷たい荷台にケツを付けたら
ここは田口の腰に手を回すべきか、後ろを掴んでるべきか、密かな葛藤が始まる。
「聖なにしてんの?
それじゃ落ちちゃうよ?」
「え?」
そしたら田口が普通に俺の手を掴んで自分の腰に回した。
…なんだよ、良いのかこれで。
自転車が走り出すと
もっと冷たい風が吹いた。
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