有頂天 AK

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聖に引っ張られて一歩踏み込んだら一層音が大きくなった。 さっきまでは低音が重く響いてるだけだったけど 今はおでこの辺りを突き刺すような音がぐるぐるぐるぐる… 「おーい。かめー?生きてるかー?(笑)」 「なんとか…」 「とりあえず座る?」 「うん、そうする」 俺の異変に聖が気付いてくれたから一安心。 このままいきなり女の子に声かける訳にもいかないしまさかフロアに出て踊れるわけもないし カウンターに座ったら煙草の煙が鼻と喉を刺激した。 隣で聖も吸ってる。 「…かっこいい」 「は?」 「聖、それなら女の子もガンガン付いてくるよ!」 「え?あぁ…お前も吸うか?(笑)」 「あ、いや…俺はいいよ ねぇ、ドリンク頼まない?」 「あー、俺もらってくる!」 「いいの?ありがとう」 「その代わり絶対ここでじっとしてろよ? もし女の子が来たら俺が戻ってくるまで適当に話つなげといて! あ!あと…」 「ん?」 「もし外人さんが何か言ってきたらきっぱりノー!って言えよ イケナイお薬売り付けられるからな」 「えっ!?マジ?」 「まぁそんな不安になんなくても平気 とりあえず!女だけは逃がすなよ!よろしく!」 「分かった…」 言いながら聖は店の奥へ消えて行った。 姿が見えなくなるとやっぱ不安になるし… 早く帰って来てくれー! って必死に心の中で願いながら周りをぐるりと見回した。 学校なんかじゃ滅多に見ないような女の子ばっかり… 男だって聖みたいな少し怖い感じ人がたくさんいる。 そんな中 「お兄さん、さっきのお友達まだ帰ってこないの?」 「へっ?」 いきなり後ろから声をかけられて心臓が止まりそうになった。 わ~マジビビった! 歳は、同い年か少し上くらい 外ハネの髪が特徴的なお兄さんに声をかけられた。 なんか…さっきの聖じゃないけどこの人すげーかっこいいな。 同じ男でも惚れちゃいそう。…なんて。 「あ、ドリンク…もらいに行ったまま」 「そうなんだ 名前なんつーの?俺、ジン」 「ジン、くん? 俺は和也です…」 「呼び捨てで良いよ 和也…かず、な なぁ、ちょっと俺の友達くるまで相手してくんねぇ?」 「え?あ、別に、いいですけど…」 「ん、サンキュ」 テンポの良い会話にぐいぐい引っ張られて、俺はそのかっこいい人、ジンの言わば暇潰しをすることになった。 .
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