有頂天 AK

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「かず、可愛い顔してるから最初女かと思った(笑)」 「えーっ!」 「あの友達の彼女かと思ったよ」 「いや、そんな…」 いつもなら可愛いなんて言われたら全力で否定すんのに なんか今は悪い気はしないかも… そんなことを考えていたら目の前に女の人の絵が描いてある小さな袋を出された。 「そうだ、かずにも教えてあけよー これ、なにかわかる?」 「コンドーム?」 「ぶっ、それじゃでか過ぎんだろ、外人用かよ(笑)」 「外人用って…(笑) 分かんないよ、これなに?」 「これはねー、 …世界が愛に溢れる粉」 「えっ? 世界が、愛に溢れる…?」 「タバコの先に付けて吸うだけで、視覚も聴覚も皮膚感覚も 全てが特殊な新感覚に包まれるんだよ」 「えーっ、ほんとに?」 「ほんとに。愛のお薬 そのときの気分は言うなら、エクスタシー お前も吸う?」 「…でも、」 説明するジンの顔が人懐っこい笑顔から怪しげな笑みに変わって 思わず引き込まれそうになった。 …でも、頭に廻るさっきの聖の言葉。 ジンは外人じゃないけど これって、まさかあのイケナイお薬じゃない? そんな俺の心を読んだのかすかさずジンが笑顔で言う。 「危ないお薬なんかじゃないよ 普段のセックスに飽きたときとか、もっと気持ち良くなりたいときとか みんな使ってるの お前もさすがに童貞なんかじゃねぇよな?(笑)」 「しっ、しつれーな!」 「ならわかんだろ これは、いつもより気持ち良くなれるお薬 今なら1回分ただであげるよ お前可愛いからサービス 使う?」 「んー…」 勢いで手を伸ばしそうになって、かろうじて理性に引き止められた。 気持ち良くなる、興味あるけど …あ、俺使う相手いないや(笑) 「いらない」 「えっ?」 拍子抜けしたようなジンの顔。 「だって俺、使う相手いないもん(笑)」 「ははっ(笑)まいったなー でも、ちょっと興味はあんだろ?」 「そりゃ、その新感覚っつうの ちょっと気になるけど…」 きっぱりと言ったらジンは笑った。 でも… 「俺と試してみる?」 「え…っ?」 またあの怪しい顔になった。 右の口端を上げて こっちを見据える目には 引き込まれそうになって… 「どゆ、こと?」 片言で返すのが精一杯だった。 .
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