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今まで誰にも連れて来られたことのない綺麗なホテルのとある一室には、耐え難いようなめんどくさいような、そんな沈黙の空気が張り詰めていた。
俺に股がる見た目もそうだけど
それよりも遥かに強い力で押さえ付けられてる腕が痛くて
せっかくの綺麗なホテルなのに
嬉しい訳もないし、楽しむ余裕もない。
「どうせお遊びなんだろ」
タバコをくわえる赤西君の声は低く響いた。
今までこんな台詞を言われた事は何度かあったけど、赤西君だって変わらないじゃんか。
亀梨君っていう俺なんかよりも真っ直ぐでちゃんとした恋人が居るのに、なんとなくそんな雰囲気でここに連れて来たのはそっちの方。
「…」
「あんな風にいつもしてんだ?
Pに手出して、亮ちゃんに手出して」
「赤西君に…言われたくない」
「誘ってきたのはおめーだろ
あ、俺アイツにも会えてねーし
最近溜まってたんだよな~…」
「…結局亀梨君なんですね」
嫌みたっぷり、連れて来たくせに亀梨君のこと出すなんて思わなかったからそう呟いた。
「なぁ…」
ゆっくりと赤西君の顔が近付いてくる。
鼻がぶつかりそうな距離で
左の頬にタバコの先っぽがすれすれで顔を逸らした。
「恋人がいながらお前をこんなとこに連れて来た俺と
色んな男誘惑して遊び回っては金をもらってるお前
どっちが最低だと思う?」
「…っ」
「答えは、両方とも最低なの」
ベッドライトの方から灰皿が音を立てながら、俺は赤西君にキスをされた。
時々漏れる息からタバコの臭いがして、でもそんなの気にならないくらい頭がくらくらするような
俺は無我夢中で舌を絡ませた。
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