desire AR

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なんでお前勝手に選んでんねん、背後から突っ込まれてるけど気にしない。 適当にDVDを引っ張りだしてセットした。 かんぱーい 乾いた音をたててぶつかる、安物のチューハイの缶。 換気の為に少し開いてる窓から入る風が寒くて、毛布を借りた。 「あー俺な、さっきなー? マジでびびってん なんやねん!とかベタなツッコミすらできひんくてな」 「うん、亮ちゃん… ちょっと飲み過ぎじゃね?」 「飲んでへんよ! 全然亮ちゃん平気やで!」 「いやいや、明らかおかしいじゃん!」 「ちゃうよ!今ちょっとふざけただけやもん!」 DVDもストーリーがよく分からないまま中盤に差し掛かり しばらくすると、いつもよりちょっと高いトーンで変なしゃべり方を始める亮ちゃん。 変な笑い方をしながら寄りかかってきたときに、亮ちゃんが完全に酔ってるってことに気付いた。 亮ちゃんの前には、転がる缶が 1、2、3…4本。 「もう、それで飲むの終わりにしろよ?」 「飲むのやめたら、仁はかえんのー?」 「うん、まぁ帰るけど」 「いやや亮ちゃん寂しいわ…」 「いやいやいや、亮ちゃんももう眠いでしょ」 「ねむないよー、亮ちゃんむっちゃ元気やねんで!」 はぁ、楽しそうでなにより。 亮ちゃんを見てため息ついたら ガバッといきなりお腹の辺りに抱きつかれて、持っていたチューハイの缶がフローリングに転がって行った。 あ、中身こぼれてるー… って、俺その辺に人の顔がくるとどうしてもムラムラしちゃうんですけど。 頑張れ、俺の理性 静まれ、俺の本能。 「亮ちゃん、寝た?」 「寝てへんよ 。今な、仁のこと考えてたら 亮ちゃんのここ苦しくなってきた…」 八の字の眉毛、潤んだ瞳に上目遣い。 さようなら、俺の理性 こんにちは、俺の本能。 .
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