おてがみ AK

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5時間目の社会って つまんないし 一番眠くなるんだ。 「日米和親条約とは…」 もうとっくに塾で習った 黒板の文字をノートに写して 頬杖を付くと、 クラスの悪ガキ赤西仁の後ろ姿。 でも、あれ? いつもなら当たり前みたいに 机に伏せてて 僕、前見やすかったのに… 今日は何故か起きていて しっかりと右手は動くし 時々ペン回しするのが見えた。 赤西君が、 社会なのに起きてる…! そしてもうひとつ。 さっき気付いたけど時々 僕の方を振り返っては 机の上に何か置いていた。 はっ、と気付いて 筆箱をどかすと …なにこれ 紙くずの山だ。 知らぬ間に出来た机上の白い山 唖然と眺めていたら 急に赤西君が振り返る。 「かめなし、俺の手紙読んだ?」 「え?手紙ってなに? それより赤西君、僕の机に ゴミ置くのやめて」 「え、ちょ! ゴミじゃねーから、あぁぁあ!! 捨てんな馬鹿!!」 「赤西!うるさいぞ 資料集のここ読め」 「はぁっ!!? マジありえねぇし…」 すっとんきょうな声に 教室のあちこちから笑い声。 …ほんとくだらない どっちが馬鹿だよ。 「ペリーは… ねぇ、これなんて読むの?」 「さこく」 「さ、こくを…」 やっぱり赤西君は馬鹿だ。 絶対言わないけど だって喧嘩は学校いち強いし。 .
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