続おてがみ AK

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「寒いねー…」 横を見るとボロボロのランドセルを抱えた赤西君が いつもと違って さっきから何も話さないから すこし違和感を感じた。 「赤西君…?」 「…あ、ごめん」 はじめて見た 赤西君のこんな顔。 不安でいっぱいで なんか僕まで不安になる。 「亀梨に、話さなきゃいけないことがあって…」 「え?」 「その… あさって、引っ越す」 引っ越す…? 「…そっか、そうなんだ」 「うん…」 赤西君を困らせちゃいけないと思って 絞り出したような一言。 子供ながらに 赤西君ん家の家庭環境が 複雑なことは分かっていた。 朝会うと目が腫れていて 声は元気なのに 泣きそうな顔でおはようって言ってくる日がたまにあった。 ときどき頬にアザがあったりして どうしたのか聞いたら 母ちゃんと父ちゃんのケンカ止めようとしたら… って力なく笑って それでも赤西君は絶対に僕に 弱音を吐いたりすることはなかった。 いつもいつも心配ないって言って… 「亀梨… 泣かないで、俺も寂しいんだ」 「ごめ…っ」 「…かめなしっ」 正面から俺の肩を掴む手が 震えてる ぽたぽたぽたぽた 赤西君のランドセルに落ちる僕達の涙。 見れば見るほど涙は止まらなくて その日僕達は、涙が枯れてしまうんじゃないかってくらい 二人で泣き続けた。 .
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