僕の苦しみは 亮P

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久しぶりに見たあいつの姿。 まだ小さい背中から漂うのは 苦しみの感情。 それでも君の横顔は綺麗で 親戚の目を盗んで話かけたのは 多分俺がお前を好きやから。 俺のこと覚えてる? ちょっとだけ お前と遊んだのは たしか、もうずーっと前やもんな。 隣に腰かけて話そうと思ったら 上手い言葉なんも言えなくて かわりに意地悪なことばっか 言ってまうし。 俺最低や。 あからさまに悲しい顔をして 顔を背けられた …当たりまえか。 「お母さん呼んでるから行くね」 「…待って」 靴を履こうとするから 反射的に智久の手を掴んでしまった。 俺はこんな意地悪じゃなくて もっとちゃんと話がしたいねん。 ちょっと怯えたような目で見られて慌てて 面白い話、するから なんて、俺そんなネタ持ってないし 嘘にも程があるわ と自分に突っ込みを入れた。 「じゃあ、それ聞いたら行く」 「あ、あぁ… あんな」 どないしよ。 咄嗟に口から出た言葉が こんなに自分の首を絞めるなんて 俺ほんまあほやな。 「面白くは、ないねんけど… 智久、今苦しいか?」 …俺、なに言ってんねやろ。 「うん、苦しい 悲しいよりもどうすればいいか 分かんなくて苦しいよ…」 「…そっか。 世界にはな 3つの苦しみがあんねん 1つは物質的執着心 もう1つは死に対する恐怖 あと1つは…」 「1つは?」 「愛する人との別れ」 「じゃあ、俺は今…」 「せやな でもな、おじいちゃんは 智久を苦しませるために死んだんやないやろ」 「…うん」 「人間は産まれたときに 課題を持って産まれてくんねや その課題をこなして行くことで 自分の魂に磨きをかけていく それが人生の目標 智久のおじいちゃんはな もう目標は達成したってことやねん」 「ふーん」 「…な? 面白くなかったやろ」 「難しかった …けど、ちょっと苦しくなくなった」 「そうか…」 .
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