むげんにループ U→A←K

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小さいころからそうだった。 顔は違うけど、頑固なところも わがままなところも 考えてみれば思い当たるエピソードはたくさんある。 そして最後はいつも 俺が折れていた。 例えば、そう ほしいおもちゃが1つのときも お菓子の残りが1つのときも たかが3時間だけ お兄ちゃんだからってさ。 小 中 高ってずーっと 隠してきたんだ、自分の欲望 弟の和也のために。 自分の恋心までも そのつもりだった。 でも それだけはずっと隠すなんて 俺には不可能だった。 優しくないお兄ちゃんで ごめんね 和也の大好きなたっちゃんじゃなくてごめんね 和也の愛する人を 取ってごめんね。 「俺ね、仁が好きだったんだ」 「えっ、竜也が…?」 「うん、ずっと前から今も好きなんだ」 「…俺も好きだよ、竜也のこと 大好き」 「ほんとに?」 「ほんとーに」 我慢するのはやめたんだ。 こんなに人を好きになったのは 初めてでさ。 こんなに誰にもこの人を 取られたくないって思ったのも 初めてだった。 恋愛に双子のルールなんて 通用しないんだよ。 なんてね、抜け駆けしといて こんなこと言えないね。 「…たっちゃん」 「ん?」 「なんか、隠してる?」 「ううん、なにもないよ」 「そっか…」 納得してないような君の顔が ひねくれた俺を優越感に浸らせるんだ。 ごめんね、でもね お兄ちゃんはようやく 自分の希望が初めて通って幸せです。 END← ――――――――― 抜け駆けたっちゃん ただ男前もて西が好きなだけ
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