先月のある日のことだった。

3/7
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
地元の市街地を出て郊外の田舎道をどこへ行くともなくノロノロと車を走らせていた。 工業団地のほう、隣町の畑道、小さい丘など。 隣のシートではもうママは眠っている。 気持ちもだいぶ安らいできた。 最近、チンピラとガチで喧嘩をしたことや、結局家族を巻き込んでしまったことが俺をいらだたせ、性格をとがらせていた。 もう静かに暮らしていたいのに。 そんなことを考えながら林の中の道を走らせていたとき、風や木々のざわめき、虫の鳴き声がサラウンドになってものすごい音に聞こえた。 もうスピーカーから流れるCDの音も聞こえない。 「いや~田舎ってやっぱり最高だな~」 などと思いながらも妙な違和感が、胸騒ぎが頭に飛び込んできた。 その瞬間、 「ビクッ」 とママが一瞬起きた。 すぐにまた眠り始めたが、寝言なのか声だけがやけに聞こえる。 薬を飲んだのに頭痛が全然おさまらない。 「なんかヤバいな」 と思って、すぐに林を抜けて町外れの小さい山の駐車場に止めて休憩をした。 車を降りてタバコを吸いながら町を見下ろしながらつくづく自分の町は田舎だななんて感慨にふけっていた。 とママが起きだして休憩はいいからまたドライブをしようという。 確かに俺もなんか落ち着かない。 どうしてもさっき感じた違和感をもう一回検証したくなった。 気のせいならそれでいい。 来た道を戻りながら頭の中の違和感を考えていた。 その時はもうなぜかわからないけど、そんな力なんてないけど、 頭の中は「キケン」とか「殺」とか「死」とかヤバい妄想でいっぱいだった。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!