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人は普通に生きていたら人を車ではねるとか、はねられるという経験はほとんどしない。
俺は両方ある。
とはいっても正確には人をはねたというよりは飛び出してきた自転車が勝手に突っ込んできただけである。
でもあの
「ガン!グニャ!」
という独特の感触は気持ちの悪いものである。
そんなことまで思い出していた。
林付近に戻るとやはり意味の分からない違和感が濃厚になる。
この辺はもうヤバいから違う道を行こうと思った。
進路を変え、あてもなく田舎を探して車を走らせた。
偶然にも俺が3年まで通ったド田舎の小学校の付近に出た。
記憶を頼りにド田舎町の道をユックリ走る。
懐かしく、いろんなことを思い出していた。
小学校にアオダイショウ(ヘビね)が出たこと、学校裏の文房具と駄菓子を売っている商店でヨッチャンイカを買って近くの水田用の水路でザリガニを釣ったこと、ガキの時死んだヤツのこと、昔急死したXXの死因が自殺と最近知って泣いたこと。
懐かしい。それだけで涙が出そうになった。
と、あまり行ったことのない道に出た。
別に大して離れているわけではなかったが、小さいとき親や祖母に、
「あまり遠くへ行くんじゃないよ」
よくそう言われていたので行ったことがなかっただけだ。全然知らない道だけど、そう遠いわけでもなかったので感覚だけで道を走った。
そうすると田んぼの裏の細い道につながり、そこからXX川の土手に出られそうな道になった。
突然、目の前が真っ白になり、真っ赤になった。
ここ知ってる!来たことある!小一のときに隣のクラスのヤツが死んだところだ!!
小さいときにみんな遊びでやる、砂利や砂で作った小さな山にトンネルを掘っているときにその山が崩れて窒息して死んだところだ。
俺はそのときちょうどいなかったけど、翌朝全校集会で黙祷をした記憶がある。
息ができなくなった。
頭の中は「ヤバイヤバイヤバイ」の連続で、これ以上先へ進んだら死ぬような気がした。
車を反転させて逃げるように街中へ走った。
産まれて初めてマジでビビった。怖かった。
パニクり過ぎて地元なのに帰り道が分からなくなった。
ママも起きだして、
「落ち着きなさいよ」
となだめてくれたが、落ち着いていられるわけがない。
慌ててるけど、スピードを出したらそれこそ事故を起こしそうで、早く街中へ帰りたいけどゆっくりにしか運転できない。
鳥肌も立っている。
緊張の汗も止まらない。
気が狂いそうだった。
泣きわめきたかった。
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