3307人が本棚に入れています
本棚に追加
『いやホント、マジでお前どうしたんだよ?いきなり俺たちの前から消えて……えっと、何日経った?』
「何日かは分かんねーけど、結構経ってるよな」
『ホント。ホントそうだろ?』
「まあ、コッチにも色々とあるんですよ。うん、色々って言うけど24色セットの色鉛筆なんてもんじゃないよ? 何千色もの色鉛筆だ。それくらい色々あるんだな」
何という表現力。隼人は自分の言葉に酔わずには居られなかった。どうよ? と言わんばかりに顔がにやつく。メールだったら間違いなく『シャキーン』の顔文字を打っていただろう。
『……何言ってんだ、お前』
「何言ってるんでしょうね」
『そんなつまらんことはどうでも良いんだよ』
「……どうでも良いとか言うな」
隼人は一瞬で、メールで『ショボーン』の顔文字を打ちたい気持ちになった。
『はあ、またこうやっていつもみたいに話をはぐらかすんだもんなぁ』
「別にはぐらかすとか、そんな気は全然ありません」
隼人は夜の空に目をやると、右手を挙げ、『何か』に合図をするかのような不思議な手の動きを見せた。
『じゃあ言えよ。今すぐ言え』
これはしつこい流れになると察知した隼人。
「あー、また今度な。そんじゃ、そろそろ切るわ」
そう言って携帯電話を耳から離そうとすると、拓人が慌てて止めに入った。
最初のコメントを投稿しよう!