1章【地上に神が存在する世界】

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『ちょ、ちょっと待てよ!』 「なんぞや? あんまりにもしつこいのはオナゴに嫌われますぞ」 『うるせー、余計なお世話だっつーの。つーか、ほら、今日お前に電話したのは別のことでお前に報告って言うか、何だ、ほら、アレだ。アレだアレ!』  言いたくてウズウズしている。拓人の声の質から容易に予想が出来た。 「『アレだ』で分かったらオレすげーよな。アレとは何ですか? はよ言え」  そんな拓人に釣られたのか。隼人の顔が自然に綻んだ。 『オレ、墨入れたぜ』 「うそ? マジで?」 『マジで!』  相当嬉しいのだろう、滅茶弾んだ声が返ってきた。 「そか、遂にお前も入れたか」 『まだ途中だけどな、それでも超かっけーぞ。やばい、まじでやばい』 「で、どんなデザインにしたんだ?」 『あ? ああ、おーおーそれだ。そのことで今日お前に言いたかったんだよ』 「オレに? なんでよ」 『実はな、デザインは『堕天姫(だてんひ)』なんだよなー』 「だて……ん? おい、それって……まさか」  聞き覚えがある。聞き覚えが有りすぎる言葉で、隼人は逆に自分の耳を疑った。 『おう。お前がデザインしたやつだ』 「なぜ」 『かっけーから』 「……さよか」 『まあでも、お前の『竜王』には負けるけどな。そこは生みの親ってことで譲ってやる』
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