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『ちょ、ちょっと待てよ!』
「なんぞや? あんまりにもしつこいのはオナゴに嫌われますぞ」
『うるせー、余計なお世話だっつーの。つーか、ほら、今日お前に電話したのは別のことでお前に報告って言うか、何だ、ほら、アレだ。アレだアレ!』
言いたくてウズウズしている。拓人の声の質から容易に予想が出来た。
「『アレだ』で分かったらオレすげーよな。アレとは何ですか? はよ言え」
そんな拓人に釣られたのか。隼人の顔が自然に綻んだ。
『オレ、墨入れたぜ』
「うそ? マジで?」
『マジで!』
相当嬉しいのだろう、滅茶弾んだ声が返ってきた。
「そか、遂にお前も入れたか」
『まだ途中だけどな、それでも超かっけーぞ。やばい、まじでやばい』
「で、どんなデザインにしたんだ?」
『あ? ああ、おーおーそれだ。そのことで今日お前に言いたかったんだよ』
「オレに? なんでよ」
『実はな、デザインは『堕天姫(だてんひ)』なんだよなー』
「だて……ん? おい、それって……まさか」
聞き覚えがある。聞き覚えが有りすぎる言葉で、隼人は逆に自分の耳を疑った。
『おう。お前がデザインしたやつだ』
「なぜ」
『かっけーから』
「……さよか」
『まあでも、お前の『竜王』には負けるけどな。そこは生みの親ってことで譲ってやる』
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