1章【地上に神が存在する世界】

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 隼人と拓人。二人の背中一面にはシルエットシンボルのタトゥーが彫られていた。  趣味でイラストを描いていた隼人であったが、まさかそのイラストをタトゥーとして背中に入れるとは。それだけ自分のイラストに相当な自信があったということか。事実、先に彫られた『竜王』のタトゥーは彫り師の腕もあってか、芸術品とも言える程に素晴らしい作品に仕上がり、仲間内からもこの種の業界内にも、すこぶる評判が高かった。  当時、拓人は二枚のイラストを隼人から見せられ『どっちが良いと思う?』と相談されていた。イラストの出来はどちらも甲乙つけがたかったが、隼人のイメージを考え『竜王』を選択した。そしてその時残った『堕天姫』のイラストは丁寧に折られ畳まれ、『いずれオレが』とニヤリと笑った拓人の胸ポケットに仕舞われた――
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