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「静はいいよなぁ、書類審査で高校受かっちゃったんだろ?試験無しで入学できるなんて夢みたいな話だよな?」
祐介が羨ましそうに俺に言ってきた。
「ああ…本当に親父のおかげだよ…悪いな祐介に由希。お前らが受験勉強頑張ってる間に、俺は新しく発売されるファイナルクエストでも徹夜でやってるよ。」
ヒヒヒと笑うと、上でまとめていた髪をほどいた由希がプーッと頬を膨らませた。
茶色の髪が綺麗に流れた。
「いいなぁ、ずるーい!静だけ!あたしもファイクエやりたーい!」
ファイナルクエスト略してファイクエ。
日本に住む人なら知らない人はいないと言うゲームソフトだ。
シリーズになっていて、今年発売されるファイクエはⅩ(10作目)だ。
「みんなが受験で苦しんでいる時に遊んでるなんて…罰が当たるからね!」
由希が頬を膨らませて怒るのが、やけに可愛かった。
「大丈夫!大丈夫!いやぁ、持つべき者は頼りになる親父ですなぁ~アーハハハハハ!」
そう…俺は…親父の口利きで、高校に受験無しで入学が決まってしまったのだ。
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