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「ま、その娘と直接話してみてからでも遅くはないんじゃねぇか?」
「・・・そうか?」
「そうだよ、だってお前はその娘のことを何も知らないわけだ。それなのにただ断るだけってのは、人生損してる気がするぜ?」
・・なるほど、そんな考え方もあるか
相変わらず見た目は軽薄そうなのに、考えだけはいつも俺の一歩先を行っている
ただ、それを憎たらしいと思わせないのは、こいつの人格なのだろう
「・・あ!ほら、あの娘だよ!」
屋上から部活動の様子を見ていた田中が指差す
手すりを背もたれにしていた俺は、億劫に感じながらも、なんとか立ち上がって、田中の指差す方向を見た
野球場、サッカー場と隣接している陸上競技場が見える
そこに、トラックを疾走している一人の女の子を見つけた
あの娘だ
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