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本社を出ると、駅やバスターミナルに向かって歩いている者が多く見られた。
無論、祥悟達もその中の一人だった。
「あー、なんか可愛い娘でもいないかなぁ。」
達雄が急に言った。
祥悟は吹いた。
「無理無理。お前なんかに彼女が出来たら俺なんかとっくに結婚してるわ!」
達雄を茶化した。
「うっせー!おい、見てろ祥悟。俺は今度こそ必ずこの職場で彼女を作ってやる!」
「まぁ、せいぜい頑張ってくれ。」
――――いつもこうだった。
恋の話になると必ず俺が達雄を茶化していた。
祥悟には現在彼女はいない。
過去には付き合った女性はいない訳ではなかった。
自分から告白した事もなく、付き合った女性ともそう長くは続かなかった。
いわば「初恋の人」と、いう存在はこの人生の中で全くいなかった。
祥悟は本当の「girl friend」を持った事がない悲しい人間だった。
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