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ケータイのアラーム音で、香保里は目を覚ました。
目に飛び込んできた天井の白が、病院のそれに見えて一瞬息が止まりそうになる。
ゆっくり起き上がると、大量の汗で体が濡れていた。
―何て、イヤな夢…
香保里はベッドからそっと出ると、タンスの下の引出しから着替えを出した。
「大丈夫?」
隣で寝ていた夫・真道が声をかけた。
「あ、ゴメン。起こしちゃった?」
「イヤ、君が起きる前から目は覚めてた」
そう言って起き上がると、真道はベッドの上で大きく伸びをした。
「それより、大丈夫?ずいぶんうなされてたけど…」
「…うん、大丈夫…。ちょっと、夢見が悪くて」
真道が香保里の額に手を当てる。
「…ん。特に熱はなさそうだね」
香保里は笑った。
「だから大丈夫だって。シャワーを浴びて着替えたら、ゴハンの支度するね。真道くんはもう一眠りしたら?」
しかし真道は、ベッドサイドに置いてあったメガネをかけると、ベッドから降りた。
「いや、今日は早出だからもう起きるよ」
そう言うと、香保里をぐいと抱き寄せた。
「おはよ、奥さん」
「ふふ…。もう…おはよ、ダンナさま」
2人は軽く、キスをした。
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