第1章 Mischief of fate(運命のいたずら)

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「あ、そうそう」 玄関のドアを開けたところで、真道が立ち止まる 「昨日、うちにマネージャーの巡回があったから、今日あたりそっちに行くかも」 「ウソッ!」 「夏物の展開チェックだね。今年は空梅雨で、南部エリアの南の方では、もう海水浴モノが動いてるらしいから。それと…」 「………?」 「四国エリアで大幅な人事異動があったらしい。何人かこっちに転勤になるみたいだから、ひょっとすると新しい店長が来るかも?」 香保里は驚いた。そんな情報、自分には全く入ってない。 29歳の若さで主任、しかも代行とはいえ1000坪クラスの大型店舗の店長を任されている香保里に、周りの目は冷ややかだ。 香保里は唇を噛んだ。 「思い詰めないで。俺も昨日、マネージャーから初めて聞いたんだから」 「お父さん!はやくー!」 優月が痺れを切らして言った。 「今、行くよー!じゃ、行ってくるね」 ドアがバタンと閉まる。車の走り去る音。家の中が静寂に包まれた後も、しばらく香保里は玄関に立ち尽くしていた。
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