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その夜遅く、深雪と亨は誰もいない居間でこっそり会った。
この時間になら誰にも邪魔されずに話が出来る。
「やっぱり無理だったのかな…結婚なんて」
会うなり悲しげに呟く深雪を亨は励ました。
自分たちは今、試されている。ここで挫けたら本当にすべてが終わってしまうと。
深雪はコックリ頷くとポケットから小箱を出して差し出した。
中身は指輪であった。
母親が成人式の時にくれたもので、祖母の形見だという。
深雪はそれを亨に預かってほしいというのだ。
「私、亨と一緒に頑張るわ。だからいつか、みんなが私たちのこと認めてくれる日が来たら、これを私の指に」
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