第3章

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その後、深雪は亨が大輔に無理に頼み込んだことによって、亨と同じ職場の弁当屋で働くことになった。 大輔は久美子から亨と深雪のことについて聞かされていた。 初めはどうしようか迷った大輔だったが亨の真剣さに打たれ、深雪を働かせることにした。 最初は失敗ばかり重ねていた深雪も、このところ日に日に仕事を覚え大輔に怒鳴られる回数もぐっと減ってきていた。 深雪は正直嬉しかった。 仕事への愛着とでも言うべきものが徐々に芽生えつつある事も自覚している。 このまま仕事同様、加藤家でも皆の中に溶け込み、亨との結婚を認めてもらえたらどんなに幸せだろう。 深雪はそんな風に考えながら毎日を過ごしてるのだった。 そんな時、突然幸運が舞い込んできた。 運んできたのは愛である。 次の土曜日学校の行事があって大量に弁当が必要な為、各家庭に弁当を届けてほしいと 大量の注文を持ってきた彼女は、その配達を全部深雪にやってくれと申し出たのだ。
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