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それは愛なりの気遣いであった。
このように大きな仕事を深雪がやり遂げたとなれば、大輔の口から母の耳に届くのは間違いない。
そうすれば母の考えも変わるかもしれない。
そう考えての事だった。
あまりの注文伝票の多さに最初は目を丸くした深雪も、愛の考えを聞かされて、心を動かした。
この大仕事を見事やり遂げれば、久美子も自分を認めてくれるかもしれない…
そう思うと断れない気がした。
勿論、亨も一緒に手伝うと快諾(かいだく)してくれている。
「私、やらせてもらうわ!」
深雪は愛の暖かい心遣いに胸詰まる思いでそう答えた。
やがて土曜日の朝がやってきた。
出来上がったお弁当が次々に自転車の荷台に積み上げられていく。
深雪は、やったるで!とばかりに威勢良く腕まくりをして表に出た。
と…いるはずの亨の姿がない。
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