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亨は自分を恥じた。
何故そんな当たり前の事が分らなかったのだろう。
「でも、やっぱり兄を連れてこなくてよかった。」
「手術までは相当、時間がかかるなんて結果聞かされたら誰だって落ち込みますよね。私は…、大丈夫だけど…」
沙織の声がほんの少しだけ震えているのを亨は感じた。
なんと言っても結果を知って一番落ち込んでいるのは沙織本人なのだ。
それを考えると亨は胸が張り裂けそうだった。
「別の病院へ行こう」
「え？」
「そこで駄目だったらまた他へ行けばいい。治してくれる先生を探そう」
「でも！」
「僕はあなたに、治ってほしいんだ…、だから！」
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