433人が本棚に入れています
本棚に追加
だから帰宅した亨がどれだけ頭を下げても許すことが出来ない。
まして失踪の理由も言わないのだから、納得するわけにはいかなかった。
その夜、亨は風呂上りの美里が自室の前を通りかかるのを呼び止めた。
昼間の事は黙っていてほしいと前置きした亨は、言いにくそうに切り出した。
大学病院にアルバイトの口はないだろうかと。
「どうしてそんな…、お金がいるとか?」
いぶかしげに言う美里を前に、亨はもてあそんでいたマッチ棒をテーブルに5本並べた。
「なんだ。5万くらいなら私が何とか」
だが、亨は苦笑いを浮かべながら5本並べたマッチ棒の下に、更に2本のマッチ棒で十字を作った。
「50万!?何するのそんなお金…」
最初のコメントを投稿しよう!