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「山口真太郎さんはどなたですか?」
木下信也が『すし善』を尋ねて来たのは翌日の黄昏時であった。
低くて威圧感のある声に店内の皆が振り向いた。
その中に昨日の一連の愚痴を言いに来ていた深雪もいた。
「山口は俺ですけど…」
勢いに押されて口ごもる真太郎に、信也がツカツカと歩み寄った。
「な、なんすかッ!?」
「うちの妹に余計な事をしないでいただきたい!」
真太郎が狐につままれたような顔になるのを、深雪が同じ気持ちで見ていた。
「目の見えない沙織を二度と連れ出さないで下さい!」
信也は従業員に進められるままカウンターに腰を下ろすと、少し落ち着きを取り戻した様子で、こう話した。
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