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亨の所へ駆け寄る深雪の姿は二人がまだ付き合い始めたばかりの頃と少しも変わらない明るさに包まれていた。
「ごめんね。今朝迎えに行こうと思ってたのに寝坊しちゃってさ。私ってドンくさいよね」
そう言う深雪は今朝の一瞬のすれ違いで亨の姿を探して町中を走り回った事などおくびにも出さずに明るく振舞っていた。
「だからね髪の毛なんてぼさぼさで大変。せっかく綺麗な私を見てもらおうと思ってたのにさ」
おどけて髪の毛をかきあげようとした深雪が顔をしかめたのを亨は見逃さなかった。
「深雪、腕どうかしたのか?」
「ううん。何でもない」
亨は深雪の腕をつかむとセーターの袖をたくし上げようとした。
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