第1章

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亨は長い沈黙の後にポツリと切り出した。 「お父さんに伝えておいてくれないか。君とはもう二度と会わないから安心してくれと」 「亨…!」 「決めたんだ。君とはもう二度と会わない」 「一人でかっこつけないで!」 立ち去ろうとする亨に深雪が必死で追いすがる。 「自分だけが苦しんでるなんて思わないで!私だって…。ずっと、亨の事待ってたんだから!」 その言葉を聞いて亨は立ち止まり深雪に振り返った。 そこには泣きそうになりながらもそれを懸命に抑えようとしている健気(けなげ)な深雪の姿があった。
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