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朝食が終わり部屋にある自分の荷物をまとめた亨は窓の外を眺めた。
外は秋晴れの雲ひとつない空が広がっていた。
<今日は暖かくなりそうだな…>
そんな事を考えていると廊下の方で声がした。
振り向くとそこには刑務官が立っていた「用意は出来たか?そろそろ行こうか」
そう言って刑務官が亨のいる部屋の扉を開けると亨は自分の荷物を持ち廊下に出て刑務官の横に並んで歩き始めた。
刑務所の中の小さな通路をしばらく歩くと見覚えのある小さな鉄の扉が見えてきて、扉のところには小さな部屋があり、部屋の中には別の刑務官がいた。
亨と引率の刑務官が扉の前に来ると部屋の中にいた刑務官が何やら小さなファイルを取り出し亨に向かって問いかけた。
「称呼番号氏名」(しょうこばんごうしめい)
称呼番号とは受刑者全員に与えられる番号で名前の役割を果たす。
亨が自分の称呼番号と名前を答え、全ての確認が終わり扉のところにいた刑務官が引率の刑務官に向かって小さくうなづくと、引率の刑務官はおもむろにポケットから鍵を取り出し扉の鍵を開けた。
そして刑務官が扉を押すと扉はゆっくりと開いていった。
刑務官に連れられて扉の外へ出た亨の中には何の感情も湧いてこなかった。
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