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『はい、静木です』
「もしもし、俺だけど」
三度目のコールで沙奈が電話に出た。
『うん、どうしたの?』
「今何処にいる?もしこれから用事ないんだったらさ…」
『大丈夫。今学校にいるから、すぐ行くわ。旭君の家?』
「うん」
『分かった。それじゃあ、後でね』
あれはちょうど二ヶ月前に起こった沙奈との交わり。抱いた、と言うよりかは抱かれたに近かったあの夜から、彼女の甘い声や上気した頬、やわらかな肌、何よりあの眼差しが忘れられない。
一度覚えてしまったあの快感を、たまらなく心は欲し、痺れる指先は彼女の携帯番号を捜し出し、プッシュする。
俺が求めれば彼女は決して嫌とは言わなかった。
男女の一線を越えてしまった以上、俺たちはもう普通の友達じゃない。でも、恋人同士でもない。
今の俺たちの現状は、所謂セックスフレンドだ。
彼女が簡単に行為に及ぶような人じゃない。もう何年も友達をしているから、その辺は絶対だ。
それじゃ彼女はどうして俺の誘いを断らないのだろう。
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