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触れ合った粘膜は火傷しそうに熱くて、じんじんと痺れるような痛みが広がった。
「あっ……小野寺く…ん…」
「…くっ…!」
全てを私の中に飲み込んで、上体を起こした彼の首に腕を回した。
切なそうに目を細める彼と視線が絡む。私がキスを求めると、それまでされるがままだった彼も私の背中に腕を回して舌を絡めた。
深い口付けに酔いしれながら、どちらかともなく体を動かし始め、しだいに激しさを増す律動に、私はしがみつくように彼を抱きしめた。
「小野寺くっ……」
「旭で良い…!」
「…ん、アっ…あさひ…」
「沙奈っ…」
私は慰めるためにあんな事をしたんじゃない。
どんなに願っても、どれだて近くにいても、その心を私にくれないのなら、せめてその温もりくらいは私に分けてほしいと思った。
コレで良い。体だけで良い。あなたの熱に侵された痛みなら、例えその痛みで死んでしまっても構わない。
旭の乱れた心音に耳をあてながら、私は気付かれないように、
少しだけ、泣いた。
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